だいぶ狂ってますね。なのに、狂ってるのはこちらなのかと思わせたり、自分の中にも狂っている部分があると感じさせられたり。『コンビニ人間』を超える問題作です。
衝撃のラストにあなたの常識が破壊される!?
『コンビニ人間』をはるかに超えた、驚愕の芥川賞受賞第一作
なにがあってもいきのびること。
恋人と誓った魔法少女は、世界 = 人間工場と対峙する。
地球では「恋愛」がどんなに素晴らしいか、若い女はセックスをしてその末に人間を生産することがどんなに素敵なことか、力をこめて宣伝している。地球星人が繁殖するためにこの仕組みを作りあげたのだろう。私はどうやって生き延びればいいのだろう――。
この本は近いうちに絶対に読む!と決めていたところ、文喫に置いてあったので、読みました。現在、本書が手もとになく、メモも残していないため、かなり手短な記事になります。
「人間を生産する工場」に適合できない魔法少女の話なのですが、実際はそういう話ではなくて、いや、そういう話なのか。魔法少女が生まれた背景がちゃんと説明されているのですが、それが少女視点で、現実感を伴わないにもかかわらず、いや、だからこそ痛々しい。
村田沙耶香と言うと、「普通とは何か」みたいなの見かける気がします。実際には、普通かそうでないかの間には明確な境界はないはずで、自分自身、普通とも言えるし、そうでないとも言えるし。だから、普通ではない(とされる)人々が描かれていても、共感する部分があったりするのだと思います。
少女から大人になって、さらに物語は暴走し、最後はもう、やりすぎやろ、と。主人公たち「ポハピピンポボピア星人」と、生産工場の「地球星人」との対比です。完全に、えげつないの極みです。
でも、ラストシーンで著者のやりたいことはわかった気がします。SFだと、そこから話が展開することを期待するラストなのですが、いかんせん、この地球上では、どうにもならん気がしますね。切ない。
「魔法少女」とか「〜星人」とかいうワードが飛び交っていますが、現実のお話です。だからこそ、この読者の中には、自分はポハピピンポボピア星人なのではないかと考えてしまう人もいるのだと思います。
何かしらの問題を浮き彫りにするというわけではなく、話もわかりやすいですし、エンタメ作品として読んでも構わないと思います。ただ、じゃあ、気軽に読めるかというと、どうにもおすすめしていいのか悩ましい一冊です。
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