6年間ずっとひとりで子育てしながら、仕事もしつつ、なんてことをやっていると、さすがに疲れてしまいます。ストレスを溜めないのは得意なのですが、溜まったストレスを解消するのは苦手です。
とりあえず映画でも観るかと、『マチネの終わりに』を観てきました。
原作には無いシーンが入っていて、それによって結末が方向付けられている気がします。基本的には原作と同じなのですが、そのシーンがあることで、感じ方が違ってくると思います。
音楽は、テーマ曲の「幸福の硬貨」が印象的なフレーズで、映像とも合っていて良かったです。
映画は現実逃避には最適ではあるのですが、逃避するには時間が短い。実家から母が助っ人に来てくれているので、遠くへ行こうと思い立ちます。そうだ、新幹線に乗ろう。行き先を探す気力もなかったので、多少は慣れている東京へ。
片道5時間の監禁状態です。
持ってきた電子機器はスマホとKindleだけ。帰宅するまで、スマホの通知はLINE以外はオフ。各種SNSもアクセス不可に。

往きは、芥川賞2作品を。
綿谷りさ『蹴りたい背中』は、僕が感じたことのない感情が表現されていて、感じたことがないはずなのに「わかる」気がするのは、表現力の高さ故でしょうか。
好きな作家を聞かれると「川上未映子」と答えていますが、小説はあまり読んでいなくて、『乳と卵』で3冊目。相変わらずの世界観なのですが、関西弁なので威力マシマシですね。
帰りは、再び、綿谷りさ。
『勝手にふるえてろ』は、いつだったか、映画を観ていたんです。演出と松岡茉優が凄すぎて、原作はどうなっているんだろうと気になっていました。松岡茉優なしで成り立つのか?成り立ってました。『蹴りたい背中』が文学感が強いのに対して、エンタメ的に読むことができます。
この作品は、小説と映画、どちらが先でも楽しめると思います。

初日は、渋谷を徘徊していました。東京で行きたい個性的な本屋さんのリストを紛失してしまったので、今回は大きい書店を回ります。
MARUZEN&ジュンク堂で、又吉直樹『夜を乗り越える』を発見。Amazonがおすすめしてくれないので、この本の存在は知りませんでした。パラパラ眺めて、面白そうだったので購入。
又吉直樹の本や文学に対する思い、『火花』の裏話などが語られています。後半は、ブックガイドのような感じで、参考になります。
ノープランで新幹線に飛び乗ったので、ホテルの予約もしていません。渋谷のネットカフェに泊まりました。今時のネットカフェは快適だ。
翌日は、一応この旅の主目的と位置付けていた六本木の「文喫」へ。入場料のある本屋として話題ですね。

入場制限がかかるという噂を聞いていましたが、さすがに平日の日中であれば大丈夫だろうと思っていたところ、ほぼ貸し切り状態でした。

選書エリアと読書エリアが分かれていて、読書エリアでは無料の飲み物を飲みながら本を読むことができます。カフェっぽい席の他に、ゆったりしたソファや、人をダメにするソファもありました。

再入場はできないので、朝から7時間、監禁されていました。その間に読んだのは、2冊。
村田沙耶香『地球星人』は、なんでしょうか、著者の頭の中はどうなってるんでしょうか。『コンビニ人間』もたいがいでしたが、それでも大人しくしてたんだなと思わされます。狂ってるとしか思えないのですが、「狂ってるのはそっちでしょ」と言ってくるのがタチが悪い。
島本理生『ファーストラヴ』は、普段読まないミステリーです。父親殺害の容疑で逮捕された女子大生、けれども彼女自身も動機がわからない。是枝裕和監督の『三度目の殺人』を思い出したのですが、気のせいでしょうか。
お昼は、中でカレーを食べました。食事は別料金です。美味しいのだけど、やや高いかも。

文喫は、本との出会いを目的にするとコスパが高い気がします。今回は、以前から読みたかった2冊を読んでしまいました。まあ、読書に没頭できたので満足です。
夜は、蕎麦を食べたのですが、「これが関東の蕎麦か!」と。噂には聞いていましたが、黒くて透き通ってないんです。食べると、醤油が濃い。これが関東の蕎麦か。

渋谷に戻って、ネットカフェに泊まります。ネットカフェでも置いてあるマンガは読まずに、Kindleに入っている本や、購入した本を読んでいました。
3日目は、東京駅を見学。新幹線を品川で降りずに東京駅まで乗っていればよかったんですけどね。まあ、まずは、噂に聞く八重洲ブックセンターへ。

渋谷のジュンク堂でも気が付いたのですが、東京は著者のサインが多いですね。それはそうか。文学YouTuberベルさんのポップも発見。下の方に動画を貼っておきます。

この日は、マンガの新刊(Kinde版)発売日だったので、東京滞在中に過去分全巻を読み返してました。
柳本光晴『響〜小説家になる方法〜』は、ついに最終巻。小説家を目指す少女の話ではないので、最初の数巻でコレジャナイ感があったら、最後までそのノリなので合わないと思います。すっきり痛快な話を読みたい人向け。
鳥飼茜『サターンリターン』は、1巻を読んで、2巻を心待ちにしていました。暗い雰囲気なので、すっきりしたくない人向け。次第にミステリー要素が強まってきましたね。
東京に来ると必ず牛タンを食べます。九州だとあまり食べませんよね。僕だけ?

初、東京駅。

夜も観たいところですが、それはまた別の機会に。

という、基本的に監禁状態の旅をしてきました。
疲れている時に、ぼーっとする人もいるかと思いますが、僕はどうしてもあれこれ考えてしまうので、読書に没頭するというのは良い方法でした。監禁状態で、スマホの通知も切って、SNSにもアクセスできなくして。東京まで行かなくてもいいので、定期的にやりたいですね。
帰宅してからは、さらに2冊読みました。
辻村深月『ツナグ』は、Kindleには入れていたのですが、読まずにいました。
本屋をまわっていて、続編を見つけたので、この機会に読むことに。評判通り、良い本でした。子どもたちにも、おすすめできそう。
天祢涼『希望が死んだ夜に』は、ベルさんの動画を観て気になっていたところ、八重洲ブックセンターの入り口でも目に入ったので、読みました。動画にもある通り、「社会派」「青春」「ミステリー」がうまく調合されていて良かったです。
表紙の写真は青山裕企ですね。意外な組み合わせだけど、合ってますね。
最終日にもう1冊発売日だったのが、川上未映子の特集ムック。
東京でも発売日には見つからなくて、Amazonで注文したものが届いたので、これから読みます。
読んだ本を記事にしたいけれど、冊数が多くて心が折れそう。(逃避できてない)
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