初めての村上春樹。ビジネス書ばかり読んでいて、小説を読み始めたのは最近になってから。そんな初心者には、村上春樹はハードルが高いのではないか。そう思っていましたが、読んでみると、すいすいと読むことができました。ちょっと~かなり不思議な物語。短編集です。
文芸初心者の僕でも、村上春樹の名前はよく聞きますし、作品のタイトルはいくつも思い出すことができます。ただ、なんだか難しそうなイメージを勝手に抱いていました。作品も多いので、どれから読んだら良いものか。
そこで、親愛なるブックナビゲーターに相談したところ、僕専用のフローチャートに沿って最初の一冊を選んでもらえました。まずは、短編で読みやすいものを。
肉親の失踪、理不尽な死別、名前の忘却……。大切なものを突然に奪われた人々が、都会の片隅で迷い込んだのは、偶然と驚きにみちた世界だった。孤独なピアノ調律師の心に兆した微かな光の行方を追う「偶然の旅人」。サーファーの息子を喪くした母の人生を描く「ハナレイ・ベイ」など、見慣れた世界の一瞬の盲点にかき消えたものたちの不可思議な運命を辿る5つの物語。
奇譚集なので、不思議なことが起こるだろうということは分かります。ただ、偶然の一致のようなプチ不思議な物語だと思っていたところ、そのようなレベルの不思議ではありません。これは意識というか覚悟をしていないと、びっくりしてしまいます。確かに、最初の「偶然の旅人」は想像通りの不思議レベルなのですが、どんどん不思議レベルが上がっていき、最後の「品川猿」に至っては…
そういった驚きはありましたが、とても読みやすく、最初の一冊としてちょうど良かったと思います。ただ、ここから村上春樹にハマっていくには、さらに別の本も読んだ方がいいのかなという気がしています。
さて、村上春樹というと、独特な言い回しですよね。ネットには、「もしも村上春樹が~を書いたら」というネタがたくさん投稿されています。作品を読んだことがなくても、こういう言い回しなんだなという知識が付いてしまうくらいに。まあ、だからこそ、読む前からハードルが高いと思い込んでしまったわけですが。
村上春樹のバックグラウンドを一切知らないのですが(ランナーだという以外は)、彼の独特な言い回しは、英語の作品ではよくある表現だという気がしました。それで、親愛なるブックナビゲーターに尋ねてみたところ、村上春樹は海外文学を読んで過ごしていたので、純粋な日本文学の系譜ではないのだそうです。やっぱりそうなのか。
両親が日本文学について話すのにうんざりし、欧米翻訳文学に傾倒、親が購読していた河出書房の『世界文学全集』と中央公論社の『世界の文学』を一冊一冊読み上げながら10代を過ごした。
村上春樹 – Wikipedia
本書では、そういう言い回しはそれほど多くないように感じました。それもあって、他の作家の作品と同じように読みやすいし、一部にはその独特の言い回しも出てきますから、そちらも楽しむことができます。
個人的には、最初の一冊として良かったと感じています。ただ、僕にパーソナライズドされたフローチャートから選ばれた作品なので、人によって最適な最初の一冊は違うでしょう。映画化された作品を観てから原作を読むというのも良い選び方なのではないかと思います。
そういえば、本書に入っている「ハナレイ・ベイ」は映画化されているんですね。観てみたい。

それから、村上春樹作品は電子化されないんですね。こだわりがあるのでしょうか。電子書籍派なので、Kindle版が出たらもっと読みたいのですが。
最後に、「もしも村上春樹が~を書いたら」の一例です。繰り返しになりますが、「東京奇譚集」はそんなにコテコテではないですよ。
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